緑内障と言われたら
<1>目のしくみ
<2>緑内障とは?
緑内障とは、視神経が障害されて、視野(見える範囲)が欠けてくる病気です。眼圧が高くなることが、その原因の重要な要素とされていますが、眼圧が正常範囲内でも、緑内障になることもあります(正常眼圧緑内障)。
緑内障は、発見が遅れたり、治療を怠ったりすると、失明につながる恐ろしい病気です。但し、早期に発見して、適切な治療をすれば、失明することはありません。
<3>緑内障の頻度
全国規模の緑内障疫学調査によりますと、日本人の40歳以上の約30人に1人、推定で約200万とされています。ところが、実際に緑内障と診断されて治療を受けている人は、その内の約20%だけで、残りの約80%の人は緑内障であることに気づいていません。
緑内障では、早期発見・早期治療が重要です。大切な目を守る為にも、定期的な目の検査(年1〜2回)を受けることをお薦めします。
<4>緑内障の検査
眼圧検査
目の中を循環している房水という水が、目を一定の硬さに保っています。この目の硬さのことを眼圧と呼びます。正常範囲は、10〜20mmHgとされています。眼圧は、時間や季節によって、多少変動します。眼圧検査は、緑内障の早期発見・治療効果の判断のための重要な検査です。
眼底検査
視神経(特に、視神経乳頭部)の状態を観察します。視神経が障害されると、視神経乳頭部の陥凹が正常より大きくなったり、変形したりします。病態が悪化しますと、色が蒼白になってきます。眼底検査は、緑内障の早期発見・進行程度の判断のための必須検査です。
視野検査
視神経が障害されると、視野(見える範囲)が欠けてきます。初期には、視野の一部分の感度が低下するだけですが、進行すると、全く見えない部分(暗点)が出現してきます。更に、進行すると、その暗点が、徐々に、大きくなり、見える範囲全体が狭くなります(視野狭窄)。視野検査は、緑内障の早期発見や進行を把握するのに重要な検査です。
<5>緑内障の種類
緑内障は、その原因や発症の仕方によって、色々な病型があります。
原発性緑内障と続発性緑内障 | 眼圧が高くなる原因が他に有るか無いかによって分類するもの。 |
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急性緑内障と慢性緑内障 | 症状の出現が急激かゆっくりかによっての分類。 |
開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障 | 房水の循環に関与している隅角が広いか狭いかによって分類するもの。 |
<6>4つの代表的な病型
[A] 高眼圧症
眼圧が高いだけでまだ視野障害などを生じていない状態を言います。緑内障の予備軍として考え、必要に応じて点眼などの治療が必要です。
[B] 原発性閉塞隅角緑内障(緑内障全体の約1割)
好発 | 50才以上の高齢者、女性(男性の約3倍)。 |
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誘因 | 狭隅角、遠視、心身の過労や精神的ショック、暗い所での長時間の読書、散瞳剤点眼、等。 |
全身症状 | 急性発作の場合は、激しい頭痛、悪心、嘔吐を伴います。 |
眼症状 | 急性発作の場合、片眼性の激しい眼痛、急激な視力低下、結膜充血などがあります。 |
治療 | 発作を起こした場合、救急処置(点滴静注・縮瞳剤点眼)により、一時的に眼圧を下降させた後、眼圧の再上昇を予防する為に、必ず、根本的治療(レーザー治療、又は、手術療法)を受けなければなりません。 |
急性発作出現時より治療開始までの時間が長い程、慢性化する確率が高くなります。急性発作が落ち着いてからでも、その後の定期検査(眼圧・眼底・視野検査)は、怠らない様にして下さい。
[C] 原発性開放隅角緑内障(一般的な緑内障です)
自覚症状 | 初期には、自覚症状はほとんどありません。視神経がかなり障害されて、進行期になると、視野が徐々に狭くなってきます。末期になると、視力が低下して、最終的には、失明に至ります。 |
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治療 |
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[D] 正常眼圧緑内障
正常眼圧は10〜20mmHgと説明しましたが、たとえ眼圧が正常でも視神経乳頭が障害され緑内障を起こしてくることがあります。最近ではこの種の緑内障が増加してきています。治療は開放隅角緑内障に準じます。
<7>最後に・・・
- 薬は、医師の指示を守り、正しく使用して下さい(点眼薬の種類・回数は、必ず、守って下さい)。
- 薬による副作用が出現することもありますので、目や全身に異常を感じた時は、すぐに医師に相談して下さい。
- 日常生活では、健康的で無理のない規則正しい生活を心がけて下さい。 適度の飲酒は問題ありませんが、タバコは眼圧を上昇させ、健康にもよくないのでやめた方がいいでしょう。コーヒーやお茶は問題ありません。ただし、一度に500ml以上の水分を摂ると眼圧が上昇してしまいますのでご注意下さい。
- 定期検査(ことに眼圧、眼底、視野検査)が大切です。まったく異常のない方も40歳を過ぎたら1年に1回は緑内障の検診を受けるようにして下さい。