★ レーザーポインターは玩具として不適当
★ レーザー光線を凝視しないこと
<1>教室内で起きた事故
平成12年の秋、東京フォーラムで行われた眼科の学会で、レーザーポインターによる目の障害例についての報告があり話題になりました。高校の授業中に生徒がいたずらで、3メートルの距離から約1秒間女性教諭の目にレーザーポインターで光線を照射したために、網膜に火傷をおこし後遺症として視力が0.2に低下してしまったそうです。
強いレーザー光線による眼障害については、以前より産業用レーザー光線による網膜障害としての報告があります。しかし会議などで指示棒の替わりに使用されるレーザーポインターの製造に関しては、使用上の安全を考え光量規制(JIS規格)が行われています。通常この規制のもとで作られたレーザーポインターでは、使用時に誤って目に照射することがあっても眼障害は起こらないと言われています。事実、会議中に光線が目に入ったために問題となった話は聞きません。
<2>玩具としてのレーザーポインター
最近、キーホルダーやペン型のレーザーポインターが小中学生の間で玩具として広まり、「レーザー光線遊び」が行われているようです。このような玩具の多くは規制外の輸入品で、経済産業省の調査により危険な光量のレーザー製品が多数含まれていることが判明しました。平成12年12月15日、経済産業省は玩具としてのレーザーポインターの危険性について報道発表を行い、百貨店協会や日本玩具協会などの関連事業者団体に対してこれらの販売自粛を要請した旨を報告しました。
また多くの製品が児童、生徒に行き渡っていることを考慮し、同月26日には全国の小中学校に対し、事故防止の呼びかけを行っています。同じ日に日本眼科医会でも、学校保健の立場から全国都道府県の教育委員会に向け注意を促す文書を配布しています。
更に平成13年1月25日に島根県は、レーザー製品の一部を条例により有害玩具に指定しました。このようにレーザーポインターを、「危険な玩具」とする認識が全国的に高まっています。遠からず子供たちの「レーザー光線遊び」もなくなることでしょうが、もしこのような現場を目にされることがありましたら、どうか子供たちに一言声をかけて注意してやってください。
<3>誤ってレーザー光線が目に入ったら
ところで、もし貴方が会議中などに誤ってレーザーポインターを照射されときにはどうしますか。通常は「まぶしさ」のため目の嫌悪反応が働き、瞬時にまばたきが起こり、眼球は上転し光線を回避する仕組みになってます。そのためほとんどは「めくらまし」の状態になるにすぎません。ただ意図的に光線を凝視すれば、光量が規格以下のものでも網膜に障害を残すことになりますので、くれぐれもご注意下さい。光線が目に入ったあと万がー視力障害などの異常が続くような場合は、速やかに眼科を受診することをお勧めします。
※参考資料:国民生活センター資料、他